ザンスクで3つの短編







10年前の予言

「殺されてえか。」

鳥も、虫も、すべての昼行性の生き物が寝静まった夜。夜行性であるザンザスは、仕事を片付ける傍ら、こちらへ視線を向けずに問うた。

「俺に、殺されてえか。」

「殺されてえなあ。」

「…。」

「…でも、それはあと10年後の話だあ。ザンザス。」

表情も視線もまったく変わらない主へ、銀色をゆらゆらさせながらスクアーロは続ける。

「まだ俺はあんたと一緒に居なきゃなんねえんだあ゛。」

「だから、また後でな。」

「……。」

「でも10年後、俺を殺せないのはお前だあ゛!ザンザス。」

一度目と閉じて、馬鹿な脳みそをこれ以上壊していいものかと思いつつ。いつの間にか空になっていたワイングラスを、目障りな銀色に投げつけた。








そして10年後

「ボス…。」

「……ザンザス…?」

「……。」

「……。」

「俺、」

「黙れ。」

「…。」

「てめぇは俺んだろう。」

「その腕もその髪もその目も全て。」

「俺のをどうするかは俺が決める。勝手においてくんじゃねえカス。」

「…。」

「(…畜生。)」

矛盾だらけで高慢で傲慢なあなたは口を歪めてかく語れり。

「這ってでも俺にその体返しに来い。」







2つのジェラートと2人の大人

「おい、コラてめぇカス、俺のジェラートがレモン味じゃないとはどういう了見だ。使えねえカス鮫は責任とって腹かっ切って死ね。」

「左手引っ張るな俺の剣で切ろうとするなう゛おおおおい、レモンは俺の好物だあ!仕方ねえだろこの時間じゃ近くのジェラッテーリアも閉店間際だった。」

「だからっててめぇの好みに合わせてやる必要はねぇんだよ。大体チョコ味が苦手ってなんだ、只の食わず嫌いじゃねえか。我儘。」

「う゛ぉおい!こんな時間にジェラート食べたいって騒ぐのは只の我儘だろおおお!」






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何年か前に書いたザンスク。ザンザスが肉しか食べないのも、こんなにアットホームじゃないのも知ってるけど、こういう距離のザンスクが好きかな。っていう。



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